有元利夫氏の絵を、いつ頃から目にしていたのかは定かではない。
父も母も好きだったので、カレンダーやら絵葉書やら切り抜きやらが、家の中にあった。
なんとなく、古い時代の絵かと思っていたら、母とほぼ同世代の人の絵だったことをずっと後になって知った。
今回の展示で、有元さんが、クラシック、とりわけバロック音楽が好きで、その調べを絵の中で奏でたいと書き残しているのを知り、母がファンだった理由がひとつ分かった気がする。
母もバロック音楽が大好きで、一時期、FMラジオから録音したリコーダー曲を繰り返し聴いていた。
今日、リコーダーを演奏している(?)「ささやかな時間」を前にしたとき、母のことが思い出されて、冷静には見られなくなってしまった。
庭園美術館にも、いつか行きたいわぁと言っていた。
外観はちょっと殺風景だが、内装はアール・デコ調でとても美しい優美な建物。
今回の有元さんの絵とよく合っていた。
あたたかみのある、でもどこかちょっと緊張感もある、いい雰囲気を作り出していた。
母は、出不精で、娘のいる東京にまではなかなか出てこない人だった。
来てたら、それなりに楽しめたやろうにな。
まぁ、疲れやすい人やったから、こっちが気を使ってしょうがないかな。
…
そんな感じで、有元さんの絵だけに集中して見ることはできなかったのだけど、まぁ、こういう見方もたまにはあってもいいでしょ。
数年後、また見る機会があったとしても、もうこんな気持ちで見ることはないだろうから。
記念に図録を買ったけど、やっぱり本物とは決定的に違う。
全体に、暗くて色がにごって見えてしまう。印刷って難しいのねぇ…。
展示作品と一緒に、有元さんの書き残した言葉が少しずつ添えられていたのだけれど、図録で更に続きが読めた。
有元さん、享年38歳ということは、私とほぼ同世代。
多分、これらの文章も私の年頃で書いたのではないかと思われる。
分かりやすい、重々しくない文章が、すっと入ってきた。
有元さんは、バロック音楽を愛していたけれど、普通に流行歌も好きでギターで歌ったりしていた、なんてことも書かれていたのにも、なんとなく親近感を感じた。
いつの時代に描かれたか分からないような、「風化した」ような絵を描いているのに、そんな通俗的なところも垣間見えると、安心する。
母も、クラシック音楽が好きで、小説や詩を愛してたけれど、ナイトスクープや吉本新喜劇や、マンガで一緒に笑える人だったナァ。
まだまだ厳しい残暑。
でも、ツクツクボウシが鳴き始めてるのだから、秋は少しずつ近づいている。
庭園美術館の庭の、日かげの芝生で少しのあいだ過ごした。
強い日差しのもと、緑の濃さが眩しかった。
確かに気温も高かったけど、乾いた風がここちよかった。
今日は、魂で夏休みを味わった気分。
なんとも幸福なひとときだった!





お母様のお人となりがまた少し分かった気がします
有元さんが、バロック音楽を聴きながら絵を描かれていたことにとても関心がありました
そのことについてもう少し詳しく知りたいなぁと思っていました
お亡くなりになられてから,その方の像が少しづつはっきりして来るって不思議な感じがするものですね
庭園美術館,迷っていましたが,是非訪ねてみようと思います
投稿情報: ひろゆき | 2010/08/24 09:50
お久しぶりです。つたない文章で恐縮です・・・。
あくまで、私が見た母の姿なので、きっと偏った像ではあるのですが。結局、一緒に住んだのは私が18歳くらいまでなので。
「人間そんな単純ちゃうで!」といわれてしまいそうです。(^.^)
投稿情報: なつみかん | 2010/08/24 11:36
お邪魔します。
有元さんの回顧展、会場との相性が良かったですね。
私は美術の知識が薄いので情緒的に観ることが多く、、展示作品や展示会場と自分の波長が合うかどうかで、ボケーッと観てしまうか、逆に集中しすぎて観て疲労困憊するか、両極端です。
しかし、今回の有元利夫展は、リラックスしつつ集中もするという(分りにくい…)、いい感じで作品世界に入り込んで鑑賞できました。
それだけに、これからという時に亡くなられたことが惜しまれて、満ち足りつつも、切ない気分で会場を出ました。
感情の動きが表されていない有元作品が、観る人それぞれの心の琴線に触れて鑑賞者の心を震わせるのは何故かな…なんて考えてしまいます。
12月~1月の、庭園美術館自体の見学企画にも行ってみたいと思っています。
長々、失礼しました。
次のご感想、楽しみにしています♪
投稿情報: 美冬 | 2010/09/05 00:33
コメントありがとうございます~。
美冬さんの感想も拝見してまして、コメントしようと思いながら日が経ってしまいました。
とても丁寧な感想で、でも冷静で、とてもいいなあと思ったので。
庭園美術館自体の展示は、昔一度行ったことがあります。そのときは写真撮影OKで、テンションあがりました。ぜひご参加下さい。
感想、なかなか書けないんですが次も頑張ります。銀座幾度にギャラリーとか寄るのですが…。
投稿情報: なつみかん | 2010/09/06 12:43